カルシウム不足は虫歯の直接的な原因にはならない
妊産婦がカルシウム不足で虫歯になりやすいとはよくいわれることですが、じつは医学的には正しくないようです。そもそも妊娠しても、妊婦の血清カルシウム(血液中のカルシウム)の量に変化はないようです。
妊婦が平常時以上に大量のカルシウムを消費するのは事実ながら、それゆえに自身の体調に影響を及ぼすことはないそうです。
なぜなら、カルシウムは、数ある栄養素のなかでも、体内で絶妙に制御される成分のひとつで、消費量が増えるとそれを補うようにして腸管からの吸収量も増加するからです。ことカルシウムに関しては、人間は“骨”という巨大な貯蔵庫を備えていて、安定性を保つようにできています。
虫歯を起こすのはあくまで虫歯菌であり、カルシウム不足が妊産婦の虫歯を招く事実はないようです。
では、なぜこのような都市伝説が生まれたのか? 不思議に思って聞いてみたところ、あながち都市伝説と切り捨てられない一面も。女性が妊娠中に歯を痛めやすい要因は他にあるようです。
つわりにともなう嘔吐で、歯に胃液を受けることが原因になっている可能性はあります。歯は酸性に非常に弱いものですから。また、妊産婦は唾液量が減少する傾向があり、結果的に歯を守るバリアを失っているのも歯を弱体化させる原因になります。
カルシウム不足よりも唾液不足の方が、よほど虫歯の原因になりやすいようです。
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